粗い表現の羽状獣文の地文の上に4匹の四足獣がめぐる。顔を正面に向けて少し斜めから描かれ、
自分の尻尾(しりお)にかみつく形に見える。尻尾(しりお)はさらに長く逆S字状に旋転 せんてん してその先端が大きくふくれて
変形し、独立した旋回文様のように見える。一般にカンガルー鏡などと呼ばれるものであるが、想像 上の霊獣であろう。文様の線が鈕の回りを規則的に旋転する形に妙がある。
羽状獣文を地文とする鏡の主文には、動物文としては本鏡のような四足獣と・6のような鳥文のみが見られ、龍文は、渦文地や鉤連(こうれん)雷文地のような細文地(さいもんじ)系統の鏡の主文として専ら頻出している。主文と地文には一定の関連があり、地域的な差異が見出される。 |