麒麟(きりん)の形をした伏獣鈕の回りに、様々の姿態をとる猊(さんげい)8頭と、鈕を中心にして十字形を描いて旋
回する蔓から多数の葡萄の実と葉を派生させた流麗な葡萄唐草文を表わす。外側には波状に転回する 葡萄唐草文の上に、1つ古い型式の鏡では銘帯ないし独立の文様帯であったものの名残りを止めたも
ので、他には正倉院蔵鏡と香取神宮蔵鏡などに見られる。
鋳上りも鋭く文様表現も軽快華麗で、葡萄の果実と葉の表現は1つとして同じ形が見当らないほどに個性的に描かれ、蔓草も単純な・線のみではなく、二重線や断面凸状の線を交えて変幻きまわりな
い。
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