海獣葡萄鏡と同一の伏獣鈕の周囲に、大きな四葉座を思わせる形に蔓草がめぐり、葉をつける。この四葉形蔓草の中に鳥2羽と獣2頭が入る。周囲には鏡縁の形と同形の・帯がめぐる。地の魚々子(ななこ)は
・鏡と異なって極めて密に打ち連ねられており、鏡の印象を異なったものにしている。
鳥・獣の足の一部と、小鳥のついばむ蔓草は、下部が空洞になって透(すか)されている。この部分は打ち 出しによる文様ではなく、後の部分溶接(ようせつ)と思われる。同様の表現がNo.49
などの盛唐期の青銅鏡の 鋳出し文様にも見られる点が興味深い。
鳥・獣も含めて文様自体は・鏡に見られるものと同巧であるが、銀板の打出しも高く、表現も鋭く かつ精緻で、鏡縁の八稜形も小型鏡には珍しく、小型貼銀(ちょうぎん)鏡中の優品と言える。
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