No.45 と同形の伏獣鈕の回りに、2羽の鳳凰と疾駆する一角獣と馬が描かれる。その間には可憐な
花をつけた植物と、これに戯れる蝶が見える。一段高い外周には飛鳥と草花が4ヶ所ずつ交互に描か れる。内区の文様と同じく、花には蝶が舞い飛ぶが、よく見ると2ヶ所は蝶が蜂に置きかえられてい
る。
外縁は円形ではなく、8ヶ所に稜角(りょうかく)を設け、その間が内側に刳(くり)込まれて、全体が花弁のような形
にしつらえられ、中の文様ともよくつりあいが取れている。文様的にも盛唐の鏡の典型で、分厚く重く作られている。
盛唐代の鏡の文様は、思想性が影をひそめ、これに代わって人々の趣向を敏感に反映した、写実 性・装飾性に富んだ図柄がもてはやされるようになる。中国の鏡の最後の最盛期が始まる。
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