中央の麒麟(きりん)形の鈕のまわりを、姿を異にする2羽の鸞鳥と二本角の猊と有翼の天馬が巡る。いず
れも足先に雲形文を踏み、尋常(じんじょう)ならざる天界の霊獣・霊鳥であることを示している。その間には複雑
に旋転する唐草が4箇所に入れられる。一段高い外区には宝相(ほうそう)華 げ 文と、花に戯れる蝶と蜻蛉 とんぼ
が交互に 描かれ、外形は先端を尖らせた八稜形となる。
このような飛禽走獣八稜鏡の形式の鏡は多数製作されたが、ごく普通の類型的な鳥や獣を組み合わ せて描くものが大半を占める。鸞鳥(らんちょう)や天馬などの特色ある鳥獣を組み合わせたものや、これにさらに
麒麟形の鈕や巻いた唐草を付け加えたものは、この形式の鏡としては特に豪華な部類に属するもので、 極めて類例が少ない。台北・故宮博物院に同型鏡が存する。
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