一匹の龍が鈕の回りに体をうねらせている。鈕を玉に見立てているかのように、振り返ってかっと口を開き、鋭い三爪の爪を見せ、鱗に覆われた全身はいかにも躍動感に満ち溢れている。頭上の二本の角、首から背中に続く鬣(たてがみ)、高く跳ね上げた後ろ足に巻き付いた尾の表現も、いかにも威厳に満ちた
龍の表現にふさわしいものである。
「新唐書・地理志」によると、唐代に貢納品として鏡を献上していた地区は、江蘇省揚州と山西省 并州の二か所で、揚州から献上品に盤龍文の鏡が見える。玄宗皇帝がこれを珍重したことが文献に記されており、白居易も「新楽府・百煉鏡」でその輝きを称えている。
この盤龍文鏡の・鏡には、外区に「千秋」の銘を持つ例が多く認められる。玄宗皇帝の誕生日(千秋節)に四品以上の臣下に下賜した鏡は龍鏡であった事が知られており、まさしくこの形式の鏡に相
当しよう。
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