王(おうもう)期以後の典型的な様式をもつ方格規矩四神鏡である。内区には四神が揃い、霊獣が集う。方格
の四隅とV字形をつなぐ渦状の線は、天と地をつなぐ構造物の一部と思われる。同様のものの表現が T・L字形の周囲や鈕の周囲にも認められる。
内区外周には「漢有善銅……左龍右虎至四海……朱爵(鳥)玄武順陰陽……」といった特有の銘文を 入れた銘帯があり、文様に表現された四神をはじめとする宇宙の機能が具体的に説明されている。方
格内の銘内容もこれに通じる内容を持つ。
鏡には「尚方 しょうほう 作鏡」の銘をもつ例が極めて多く、このスタイルの鏡が王代以後の尚方(皇室専
用工房)で製作されて民間にも意図的に大量に流出させていたことが知られる。 ・品は福岡の平原遺跡などの弥生時代の遺跡や、前期の古墳からも多数出土している。 |