小乳によって4区画に分割された内区に、東王公・西王母と歌舞の場面を描く。東王公・西王母と
も右に長い筒袖をひるがえす人物がおり、旋舞の一種の表現と思われる。残りの2区画はともに歌舞 の場面で、写真右の区画には左に琴を弾く人物、右に逆立ちする人物、写真左の区画には左に簫(しょう)を吹
く人物、中央に両手を挙げて踊る人物、右に手をたたいて拍子を取るか歌唱するか不明の人物がいる。
このような歌舞の場面は西王母に有緑(ゆうえん)の図像で、前漢末の建平4年(B.C.3)に発生した爆発的な西
王母信仰を記した文献では、民衆が六博(りくはく)というゲームや歌舞をおこなって西王母を祀ったと言われて いる。
外区には西王母の眷属(けんぞく)である三足烏・九尾弧が見え、他の個名を明らかにしえない鳥獣の類もまた 同種のものと予測される。彼らは内区にある西王母の世界をぐるりと取り巻いて警備する、いわばガ
ードマンの役割を文様の位置上においても果たしていた。 |