ふつう龍虎(りゅうこ)鏡とも称される鏡で、向かいあう2頭の龍ないし虎・獅子のような頭をした獣と、下に
もう1頭、計3頭の獣が鈕の回りをめぐっている。獣の胴体にはたくさんのパチンコ玉状の突起が加 えられ、胴体の半ばは鈕の下に隠れるような形に表現されている。
これらの獣は、・鏡の銘文から判断すると、天禄(てんろく)や辟邪(へきじゃ )などと呼ばれる類を含めた天獣 てんじゅう
と呼ばれる 神仙世界の霊獣と考えられる。この鏡とほぼ同時期に設立した「説文(せつもん)」と呼ばれる字書には「獣、守
尾者也」と記されていて、これらの獣が神仙世界のいわばガードマン的存在であったことがわかる。
日本でも古墳から多数出土しており、三角縁(さんかくぶち)を持つものには福知山市広峰15 号墳出土鏡のように
魏の景初 けいしょ 4年の年号を有する例も見られる。 |