鈕を挾む2本の平行線で内区を3段に分かち、各々に神仙像を入れるのでこの名がある。内区を見
る方向は、本鏡のような4方向からのもののほか、2方向、1方向の例があり一定しない。中央の2 神は冠の形状から見て、西王母(写真左)と東王公(写真右)である。写真上の区画では、中央の玄武の背中から柱がのびて、上の華蓋(けがい)を支え、右に北極の神・天皇大帝(てんこうたいてい)が正面向きに座す。写真下の区画では、両側からのびた樹木が中央で8の字状に絡んで輪をつくり、侍者を従えた神仙が向かい合っ
て座している。この2神の冠(かんむり)と持物(じぶつ)は鏡によってかなり相違があり、今一つ性格が明らかでない。
例の少ない鏡で、文様表現からは神獣鏡に近縁の鏡と言えるが、霊獣を交えず神仙のみで神仙世 界を表す表現法はこの鏡独特のものである。日本では群馬県の前橋天神山古墳から出土している。
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