鈕の回りに変形唐草(からくさ)文帯がめぐり、これによって上下幅を挟められた内区を7等分して、細線(さいせん)表現
の文様7つを収めている。玄武を含めた四神が揃い、他は四足獣、青龍と向かいあう仙人(養龍(ようりゅう )氏?)
と青龍とは別個の龍である。外区には方格規矩四神鏡と同巧の流雲文(りゅううんもん)帯がめぐる。
細線獣帯鏡の文様は、四神に他の文様を付加したものが多く、表現も細突線で、外区や銘文も含め て全体として方格規矩四神鏡に極めて近い。特に円圏(えんけん)規矩鏡をはじめ、両者の中間的な文様構成の鏡
があり、恐らくは方格規矩四神鏡が内含(ないがん)している思想内容の別個の表現形態が細線獣帯鏡であったこ とが考えられる。
永平7年(A.D.64)の紀年鏡があり、方格規矩四神鏡と併行しつつ、中期まで継続した型式と考えら れる。日本でも伝仁徳天皇陵古墳ほか、古墳からの出土例が多数ある。 |