古鏡展
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蟠ち文鏡彩画狩猟・樹下遊楽図文鏡羽状文地四葉文方鏡雷文鏡半肉彫龍文鏡星雲文鏡重圏銘帯鏡
方格規矩四神鏡
方格規矩四神鏡
方格規矩文鏡
細線獣帯鏡
半肉彫神仙獣帯鏡
盤龍鏡
き鳳文鏡
神人歌舞画像鏡
神人龍虎車馬画像鏡
四獣画像鏡
神人騎馬画像鏡
狩猟文画像鏡
孝子伝図画像鏡
伯牙弾琴龍虎鏡
建安十年重列神獣鏡
重列神獣文鏡
環状乳神獣鏡
三段式神仙鏡画文帯同向式神獣鏡
 
伯牙弾琴龍虎鏡
伯牙弾琴龍虎鏡

上部中央に、故座(こざ)して膝上の琴を奏でる伯牙(はくが)(傍題は白牙)の弾琴像があり、両側には鳳凰と一角獣 (麒麟)がこれに聞き入るかのように描かれる。伯牙は春秋時代の琴の名手として有名であるが、ここでは肩から羽毛(うもう)を生じて神仙としての扱いをされている。下部には向かいあう二対の龍形と虎形があり、その表現は龍虎鏡(盤龍鏡)のそれと同一である。
伯牙の弾琴像は時代の下る神獣鏡の中に頻繁に描かれる図像で、伯牙の奏でる音楽に東王公・西王母に代表される陰陽(いんよう)を調和させる機能が与えられていたと考える。本鏡の銘文にも「白牙拳楽」の句があって、銘全体も典型的な神獣鏡系の銘であり、白牙の図像の持つ意味合いは神獣鏡と全く同一の ものであったと思われる。
龍虎鏡(盤龍鏡)はむしろ半肉刻獣帯鏡や画像鏡と近縁性の強い鏡であり、このような神獣鏡系の伯牙の単独像と何故組み合わされたかは今の所説明が難しい。


建安十年重列神獣鏡
建安十年重列神獣鏡
内区の4区画の内の2つは通常の車馬と歌舞(雑伎(ざつぎ))の光景であるが、残りの2区画には3つの傍題(ぼうだ)があり、孝子伝より採られた図像であることが知られる。
曽子(そうし)は孔子の直弟子で孝行者の象徴であり、ここでも跪(ひざまづ)いて拱手(きょうしゅ)し、恭順の姿に描かれている。その右の母は織機(おりばた)に坐して後ろを振り返っている。曽子にまつわる故事の一場面を描いたものである。曽子と 同名の異人が殺人を犯し、人違いしたあわて者が曽子の母に知らせた。母ははじめはその知らせを信じな かったが、三人目の人が知らせに来るとさすがに動揺して、機(はた)を織る杼(ひ)を手から落としたという話である。
曽子の左には閔子騫(びんしけん)の父がいる。閔子騫も孔子の弟子で、曽子と並ぶ孝子の代表者である。自分に冷た くあたった継母(ままはは)とその子(義弟)を許して愛情を注ぎ、事実を知って離縁しようとした父を諫(いさ)めた話で 著名である。閔子騫自身が描かれないのはスペースの関係であろう。山東省嘉祥(かしょう)県の武氏祠(ぶしし)画像石に 描かれる孝子伝図17 種のうちに、この両者が同一の配列で相並んで描かれていることが注目される。
画像鏡の文様は、神人龍虎・神人車馬・神人歌舞などいずれも神仙世界を表現したものである点で 共通点があり、これはまた後漢代の鏡の文様全般を通した特色でもある。その意味からも、儒教的背景を持つ孝子伝の図を鏡の文様とすることは異例中の異例と言えよう。何か特殊な用途があったので あろうか。




     
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